クリニックブログ
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おしりが腫れて外来に来られる患者さんのなかには、
『1週間前からおしりが腫れて、近くのクリニックを受診し、抗生剤を内服したのですがよくなりません』
『おしりが腫れて痛いので近くの肛門科を受診しましたが、痔だと言われて軟膏をもらいましたが、よくならないのできました』
という方々がいらっしゃいます。
これらは診察した結果、『肛門周囲膿瘍』という病気を診断された患者さんから聞く話ですが、肛門周囲膿瘍の適切な診断と治療が行われずに、症状が改善されず困って受診されるケースのお話しです。
肛門周囲膿瘍の治療は、症状を確実に改善させるために、
①緊急で膿を出す処置(切開排膿=手術)が必要であるか
②抗生剤などの薬による治療でも症状の改善が可能であるか
③そもそも痛みの原因は肛門周囲膿瘍でよいのかどうか
という点を、適切に判断しなければならないのですが、これが実は難しい場合があります。
これら①-③のことを判断し、治療方法を決めるためには、
・膿の溜まっている量がどのくらいであるか
・肛門のどの場所に膿が溜まっているか
をきちんと把握する必要があります。
これらを適切に診断ができなければ、当然のことながら適切な治療はできないものです。
実際、肛門の疾患に精通している肛門専門医でも、患者さんの痛みの訴えや、おしりの所見に細心の注意を払わなければ、正確な診断にたどり着けないこともあるほど難しいものです。
・肛門指診(=指での肛門の診察)
・視診(=肛門鏡による肛門内の観察)
に加え、
・肛門エコー検査(肛門超音波検査)
などを用いながら、慎重に診断をしていきます。
おしりの病気はみなさんが身近に経験する病気です。
ですが、肛門診療はとても専門性が高いものだと考えます。
せっかく病院を受診したにもかかわらず、痛みが改善せず、困って肛門専門病院へ来られた患者さんが、適切な診断と治療を受けたことで症状が改善、治癒されると、肛門科医でよかったと思います。
おしりの症状で困ったときには、大腸肛門の専門医(肛門科)の診察を受けることが大切です