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『おしりの痛み』で肛門科を受診される患者さまは数多くいらっしゃいます。
『排便の時に痛む』という場合、ほとんどが、裂肛(=切れ痔)で、肛門の内側を診察すると、肛門の一部が切れていることで診断がつきます。
このように、おしりが痛い原因が診察で明確となる場合はいいのですが、原因がはっきりしない痛みというのもあります。
この中に、
『特発性肛門痛(突発性肛門痛)』(=「肛門疝痛(せんつう)発作」)というものがあります。
この典型的な症状は、
・排便とは無関係に突然肛門が痛くなる
・長く座っていると肛門が痛くなる
というものです。
実際に肛門診察を行っても、痔核や裂肛などの痛みの原因となる明確な所見は認めません。
つまり、肛門の病的所見がないにもかかわらず、肛門の奥に痛みを感じる病気です。夜間など何もしないときに痛みを感じることが多く、はっきりした原因は不明で、不安やストレスなどの精神心理的要因や肛門周囲の筋肉の痙攣が考えられています。
特発性肛門痛は、肛門鏡による検査や大腸内視鏡検査を行い、痛みの器質的疾患がないことを確認する必要があります。
治療法としては、外用薬や神経痛を和らげる内服薬による保存的治療が中心となります。
精神安定剤が有効な場合もあります。
根治的な治療法がないところがやっかいな病気です。
痛みで困って外来にこられているのに、痛みの原因がはっきりしないのですから…
ただ、大腸や肛門に痛みの原因となる心配な病気がないということが、判ることで安心されて、痛みが和らぐケースもあります。
大切なことは、痛みの原因となる病気があるのかないのかという点を、大腸肛門専門医できちんと診断を受けておくことであると思います
当クリニックの肛門外科診療について、詳しくは肛門外科(痔・化膿・湿疹・かぶれ・ヘルペス・痛み・排便時の出血など)をご覧ください。