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『最近、お通じの回数が多くなり、下痢をよくします』
『昔より下痢をしやすくなり、便に血が混ざることがあります』
という症状でクリニックを受診される比較的年齢の若い患者さまが増えています。
このような患者さんが受診されるとき、考える疾患として、
『潰瘍性大腸炎』
という病気があります。
『潰瘍性大腸炎』とは
大腸の粘膜に潰瘍やびらんといった炎症が広範囲に連続して起こる病気です。
体の防御システムである「免疫」が、なぜか自分自身の大腸粘膜を攻撃してしまうために起こると考えられています。
代表的な症状は、慢性的な腹痛、下痢、血便で、排便後も残便感や、排便したいときのような腹痛が続く「しぶり腹」を訴える方もいらっしゃいます。
現在、日本には、約18万人の潰瘍性大腸炎の患者さまがおり、その数は年々増加しています。10年前に比べると約2倍の患者数になっており、国が定めた最も患者数の多い難病・特定疾患です。
最近では、有名人の方でも御自身の病気を公表されるかたも増えており、潰瘍性大腸炎という病気を知っている方も増えてきていると思われます。
潰瘍性大腸炎の診断のため下痢や血便の原因を詳しく調べる検査として、「大腸内視鏡検査」がありますが、この検査の結果、診断が確定された患者さんに
「『潰瘍性大腸炎』という御病気で国が定める難病指定の病気です」
ということを伝えると、やはり戸惑いやショックを隠せない患者さまが殆どです。
ただ、
『規則正しい日常生活を心がけ、きちんと薬による治療をすれば、大事に至る可能性は非常に低く、通常通りに生活を送ったり、仕事をしたりすることもできる』
とも説明させていただきます。
『潰瘍性大腸炎』の治療は、
メサラジンという薬による治療が基本となります。
大腸粘膜に炎症がある状態である〈活動期〉に内服薬や外用薬などを使用することで、炎症を抑えられた状態である〈寛解期〉にすることが可能です。
では、なぜ、『潰瘍性大腸炎』は難病指定・特定疾患に指定されているのでしょうか?
‥それは、『潰瘍性大腸炎』という病気が風邪や怪我のように治す(治癒)という考え方をしづらい病気だからです。
潰瘍性大腸炎の治療薬である〈メサラジン〉を使用することで、大腸粘膜の炎症は押さえられ、それまで続いていた、下痢や血便はおさまってきます。
ただ、これは治った(治癒)とはいえず、炎症を穏やかな状態にする(寛解期)ということになります。
実際、炎症が穏やかになった状態(寛解期)でも、メサラジンの治療を継続した患者さんと寛解期で治療を休止した患者さんを比べると、治療を休止した患者さんでは炎症がぶ
り返す(=再燃)状態になる確率が明らかに高いというデータがあります。
そのため、『潰瘍性大腸炎』は病気を治す(=治ったから薬を休止する)という、考え方がむずかしく、治療薬を継続することで病気を穏やかな状態に維持する(=寛解維持)という考え方になります。
このことから、『治癒をした』=『治療を止める』ということができないことが、『難病指定・特定疾患』に指定されているということになります。
ちなみに、メサラジンは非常に安全な薬と考えられており、妊婦さんにも使用が可能です。
きたやま胃腸肛門クリニックは潰瘍性大腸炎の患者さまの治療を積極的に行っております。
『最近、下痢や腹痛、血便があり心配….』
の方は、老若男女を問わず、一度、(苦痛のない)大腸内視鏡検査をおすすめするとともに、是非一度専門クリニックへご相談ください。