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胃内視鏡検査でピロリ感染陽性で、除菌療法が成功した際、子供さんがいる親御さんから
「私がピロリ陽性であったので、自分の子供も調べてあげたほうがよいでしょうか?」
という、質問を多く受けます。
その際、
「ピロリ菌検査は何歳でもできます。検査の方法は大人と一緒で、便の抗原検査や尿の抗体検査、血液の抗体検査、呼気試験などが行えます」
「ただ、仮に陽性としても、保険診療のルールのなかでは除菌治療ができないため、特別な消化器症状がない限りは、成人になってからでもよいとおもいます」
と、答えるようにしております。
その背景は
◎ヘリコバクターピロリ学会のガイドラインよると、小児科領域ではスクリーニング検査は必要ないと判断されています
◎除菌治療を行う場合、治療薬に関する添付文書では「小児等への投与:小児等に対する安全性は確立されていない(使用経験が少ない)」となっており、治療を実施する場合は、必要性と安全を十分に検討したうえで、保護者の同意が必要となります。
ピロリ菌検査および除菌治療を保険診療で行う場合、以下ルールがあります。
①ピロリ菌検査や除菌治療を行う6か月以内に胃カメラを受けている
②胃カメラ検査でピロリ菌感染による慢性胃炎(萎縮性胃炎)が確認されている
したがって、
除菌について保険適用が あるのは成人で、小児に関しては基本的には保険適用はないのです。親御さんの気持ちとしては、自分の子どもが感染しているかどうか知りたいということで、そのような場合は自費診療となります。
ただし、小児の患者さんで、腹部症状や消化器症状 があったり、あるいは貧血や、血小板減少性紫斑病などピロリ菌が原因で起きてくる疾患を疑う場合にはじめて、ピロリ菌検査を積極的におこなうことになります(この場合は「保険適応」となります)。
ピロリ菌除菌薬に関しても、大人と同じ抗生剤、胃酸を抑える胃薬が使えるようになる、体重40kgを超えてからのほうが、安全性も高いと思われます。
親御さんから念のための子どものピロリ菌検査、除菌を相談されたときには、
「お子さんでもピロリ菌検査はできますが、仮にいたとしても、除菌治療を安全にできるわけではありません。検査も治療も保険診療でおこなえません」
「お子さんが成長する過程で、消化器症状をしばしば訴えるようであれば、除菌に関して大人と同じ治療薬が使えるようになる、40kgくらいを超えたら、検討してもよいかもしれません」
「保険診療で行うには、胃カメラが必須になるので、胃カメラが必要と判断されたときに、ピロリ菌検査を一緒に行うことでよいと思いますよ。」
とおこたえしています。