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小さなお子さんでも、おしりの病気になることはあります。
御両親がとても心配そうに子供さんと来院されることはよくあります。
そのなかで、一番多いものは
①裂肛(=切れ痔) です。
御両親がお子さんを連れて
『お通じをするときに血が付くのですが…』
と、連れてこられます。
『お通じが硬くないですか?』
『お通じをするときに、痛がって、泣いたり、嫌がったりしませんか?』
と、お聞きすると、
『そうですね』
とお答えを大抵頂きます。
問診をすることで、診断の目安はおおよそつきますが、子供用の細い肛門鏡で、肛門の中をそっと診察して、『裂肛』と確定診断がつきます。
(無理な診察はおこないません)
治療法はほとんどが、薬による治療になります。
①排便のコントロール
→便が硬い場合には、軟らかくする薬を使う場合があります
②外用薬の使用
→肛門につける薬を処方します
便通を硬くしないように気をつけて、しばらく外用薬を使っていけば、よくなります。
次に多いものが、
②乳児痔瘻 です。
これは、あまり聞きなれないかもしれません。
『おむつかぶれ』ということで、子供さんを連れて来られる方も多くいらっしゃいます。
痔瘻は、肛門の内側から肛門の外側に向かって、脇道を作るようにトンネルを形成する病気です。
(痔瘻の詳しくは、『専門医のつたえておきたい肛門のおはなし』記載しております)
大人で痔瘻と診断された場合は、通常は手術をしなければ、自然に治ることはありません。
しかし、乳児痔瘻は違います。
大人にできる痔瘻とは異なり、ほとんどの場合1-2歳ころには自然治癒すると言われています。
約9割が男の子なのも特徴の一つです。その理由は、現在のところ不明です。
症状としては、主に肛門の側方、右側や左側が腫れてきて
①皮膚は真っ赤になります。
②熱がでることもあります。
自然と破れたり、切開してうみが出ると熱や発赤が治まります。
うみが溜まるとうみの出口ができて排膿が続きます。
膿がたまったり、出たりを繰り返すこともあります。
治療方法としては
①経過観察します。
おむつかぶれを防ぐようにお尻を清潔にするように心がけてもらいます。
②膿の溜まりが多いと判断した場合、切開をします。
就学くらいまで様子をみているうちに、自然と治まってしまうものがほとんどです。
まれにではありますが、経過をみるなかで、膿のトンネル(痔ろう)がしっかりと触れるようになってしまった場合は、手術が必要となります。
小さなお子さんのおしりの病気はほとんどが、心配の要らないものです。
まずは、正しい診断をつけてもらうことが大切です。