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潰瘍性大腸炎の治療にあたって、一番重要なことは、患者さんの症状ですが、
「なんとなく最近調子が悪い気がする」
「血便はないけど、便の回数は少し多い気がする」
「調子はよいのだけど、ずっと内服量を活動期の服用量でなければいけないの?」
といった、声を聞いたとき、治療方針決定のための判断材料が必要となります。
当院では、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の炎症のモニタリングに「便カルプロテクチン検査」を積極的に使用しています。
「便中カルプロテクチン検査」は、 腸のどこかに炎症があるかどうかを「採便」で調べる検査です
採血による炎症の評価の場合は、体のどこかで炎症を起こしているかが分かりますが、便中カルプロテクチンの数値が高いということは、腸に炎症があることを意味します。つまり、 下痢や血便などの自覚症状に現れないようなわずかな腸の炎症も確認することができます。
もちろん、定期的な大腸内視鏡検査によるフォローを行い、「炎症の程度」や「炎症の範囲」を確認することは大切ですが、炎症の評価をより定期的に簡便に行えるということでとても有用です。
潰瘍性大腸炎の患者さんの病態を把握するためには多くの指標が必要であり、当院では
・患者さんの臨床症状
・内視鏡検査による粘膜所見
・病理組織検査による病理評価
・採血による炎症を含めた、全身評価
に加え
・便カルプロテクチン検査による腸管の炎症評価
をおこなっています。
実際に診療にあたっていると
症状や血液検査などでは全く異常がなくても、腸の炎症が一部で残っている人が珍しくなく、そのような方には
「日常生活でのストレスや疲労の蓄積が少なくなるような注意喚起をおこなう」
「投薬量を減量している場合は、早めに増量し、増悪のリスクを未然にさげる」
というアプローチをおこなっております。
便中カルプロテクチン検査はあくまで診断の補助といった位置づけですが、具体的な数値を患者さんにもお伝えできるため、治療のモチベーションにつながったり、症状が再燃する前の予兆知ることができます。
なにより、患者さん自身がつらい症状が出る前に薬の調整ができ、治療方針を立てやすくもなります。
便カルプロテクチン検査は 患者さんの腸の炎症を、安全、簡便かつ的確にモニタリングできるとても有用な検査です