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『ピロリ菌を調べてほしい』
と希望され、外来に来られる患者さんがたくさんいらっしゃいます。
胃がん患者の98%はピロリ菌保菌者というデータもあるため、ピロリ菌がいる場合は除菌をすることが大切です。
・ピロリ菌を除菌することで胃癌リスクが3分の1くらいに減少する
・もともとピロリ菌がいない人は胃ガンのリスクは非常に低い
と考えられています。
2013年2月22日から、ピロリ菌に対する検査や治療については、『慢性胃炎』という診断がつけば、保険が適用されるようになりました。
その結果、3割負担の健康保険なら料金は一般的に5000~6000円で検査および除菌ができるようになりました。
(それまでは、胃潰瘍などの病気でなければ、ピロリ菌については保険適用がされませんでした。つまり、ピロリ菌が原因で、慢性的な胃炎の場合でも自費で除菌するしかありませんでした。)
つまり、ピロリ菌の検査だけを希望された場合には保険は適用されません。
というのは、厚生省は『胃カメラで慢性胃炎を認めた方』についてのみ保険適用を認めているからです。
したがって、ピロリ菌の検査だけしたい場合、検査費は全額自己負担になります。
(仮にピロリ菌が陽性で除菌を必要とする場合には、除菌薬の費用も自費負担になります)
では、実際に検査をしてピロリ菌がいない、もしくはピロリ菌を除菌してピロリ菌がいない場合、その後の胃内視鏡検査(胃カメラ)は受ける必要がないのでしょうか?
・・・答えは、定期的な胃内視鏡検査はその後も必要となります。
理由は、胃ガンの中にはピロリ菌とは無関係のガンもあるからです。
その一つとして、未分化癌、いわゆるスキルス癌があります。
スキルス癌を早期に見つけるためには、バリウム検査では不十分であり、胃内視鏡検査を行うしかありません。
また、除菌を成功した場合でも、除菌されるまでに胃の中には長らくピロリ菌が住み着いていたわけであり、もともとピロリ菌がいなかった人に比べると、明らかに胃ガンになる可能性は高いと考えられるのです。
ピロリ菌があるかないかということだけが一人歩きすることはあまりよくありません。
胃内視鏡検査(胃カメラ)を定期的に受けることがとても大事であり、その中で、ピロリ菌についても考えていくことがよいと思います。
【まとめ】
①ピロリ菌は、胃内視鏡検査(胃カメラ)で慢性胃炎の診断がつけば、保険診療でピロリ菌検査や治療が可能になる
②ピロリ菌がいない(除菌する)ことで、胃ガンのリスクを低くすることができる
③ピロリ菌とは関係のないガン(未分化癌=スキルス癌)などもあるため、年に1回の定期的な胃内視鏡検査(胃カメラ)は必要である
当クリニックの胃内視鏡検査(胃カメラ)について、詳しくは痛みのない経鼻胃内視鏡検査(胃カメラ)時間・前日の食事・鎮静剤(麻酔)をご覧ください。
当クリニックのピロリ菌検査・治療(除菌)について、詳しくはピロリ菌外来の検査・治療(除菌)保険適用をご覧ください。